東京地方裁判所 平成11年(ワ)13538号 判決
原告 中嶋文隆
原告 馬場芳治
右両名訴訟代理人弁護士 松山満芳
被告 株式会社日栄
右代表者代表取締役 松田一男
右訴訟代理人弁護士 滝田裕
主文
一 被告は、原告中嶋文隆に対し、一九三万二八一六円及びこれに対する平成一一年八月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告は、原告馬場芳治に対し、三〇〇万円及びこれに対する平成一一年八月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、原告中嶋文隆に生じた費用と被告に生じた費用の三分の一を五分し、その一を原告中嶋文隆の負担とし、その余を被告の負担とし、また、原告馬場芳治に生じた費用と被告に生じた費用の三分の二を四分し、その一を原告馬場芳治の負担とし、その余を被告の負担とする。
五 この判決は、第一項及び第二項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一原告らの請求
一 被告は、原告中嶋文隆(以下「原告中嶋」という。)に対し、二二六万一二九五円及びこれに対する平成一一年八月五日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。
二 被告は、原告馬場芳治(以下「原告馬場」という。)に対し、四〇〇万円及びこれに対する平成一一年八月五日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
一 本件は、原告らが被告に対し利息制限法所定の制限利息を超える過払金の不当利得返還と年六分の割合による遅延損害金を求めた事案である。
二 争いのない事実
1 被告は、平成五年六月一一日から平成一〇年三月二四日までの間、株式会社エフエフ技研(以下「エフエフ技研」という。)に対し手形貸付の方法で別紙1「取引経過表」の「借入額」欄記載のとおり金銭を貸し付け、同表の「返済額」欄記載のとおり返済を受けた。この返済額のうち貸付時のものは、同表記載のとおり、被告に対する「利息」「調査料・取立料」と日本信用保証株式会社(以下「日本信用保証」という。)に対する「保証料・事務手数料」との合計額であり、貸付額から天引きされたものである。
2 原告中嶋は平成九年八月五日、原告馬場は平成六年六月二一日、被告との間で、それぞれエフエフ技研の債務を四〇〇万円の限度で連帯保証する旨合意した。
3 エフエフ技研は、平成一〇年三月末に倒産した。
4 原告中嶋は、被告に対し、平成一〇年四月九日及び同月一七日に各二〇〇万円(合計四〇〇万円)を支払い、原告馬場は、被告に対し、平成一〇年四月一〇日、同月一四日、同月二三日及び同月二八日に各五〇万円、平成一〇年五月七日に二〇〇万円(合計四〇〇万円)を支払った。
三 争点に関する当事者の主張
1 日本信用保証に対する保証料及び事務手数料(以下「保証料等」という。)を利息とみなすことの可否
(一) 原告ら
日本信用保証は、平成三年に設立された被告の一〇〇パーセント子会社であり、被告との連結財務諸表を作成して、保証料等は実質的に被告に帰属させている。日本信用保証は、独自の審査をすることなく、被告の貸付けのすべてについて保証しており、保証料等は、被告が貸付金から利息等と一緒に天引きして受領している。また、被告は、貸付けにつき複数の根保証人を徴し、自ら過酷な取立てをしており、日本信用保証からの回収は全く予定していない。このように日本信用保証は、経済的な独立性はなく、実質的には被告内部の一組織にすぎない。被告が日本信用保証に対する保証料等を導入したのは、従来の三〇パーセントを超える利息の一部の名目を切り替えて、高利であることがわからないようにしたものにすぎない。現に、トータルの実質利率は、従来と同様である。
したがって、保証料等はみなし利息として、過払金の元本充当の計算をすべきである。
(二) 被告
保証料等は、保証の実行による支払の原資として日本信用保証に帰属するもので、被告が受ける金銭ではないから、みなし利息には当たらない。被告が利息等と一緒に保証料等を天引きしているのは、日本信用保証の事務を代行しているにすぎない。
日本信用保証は、被告のリスク分散のために設立されたもので、信用保証業務、求償債権回収業務等を行っており、被告とは独立の実体を有する株式会社である。現に、日本信用保証は、本件でも、被告に対し代位弁済を実行している。
2 利息制限法所定の制限利息を超える過払金の元本充当の可否
(一) 原告ら
(1) エフエフ技研は、各借入時に利息(保証料等のみなし利息を含む。)を天引きされている。この天引額のうち利息制限法所定の制限利息を超える部分は、その都度元本の支払に充てたものとみなされる。その結果、残元本は別紙2「計算書」のとおり順次減少していき、平成一〇年三月二四日の最終の借入れ後の残元本は、一七三万八七〇五円となる。したがって、過払金は、原告中嶋が二二六万一二九五円、原告馬場が四〇〇万円の合計六二六万一二九五円である。
被告は本件の各貸付けはそれぞれ別個独立のものである旨主張するが、仮にそうであっても法定充当を否定すべき理由はない。また、これらの貸付けは、当初の手形貸付取引約定で定められた元本極度額の範囲内で継続的にされたもので、相互に無関係な別個独立のものではない。本件の各貸付けを全体として一個の貸付けとみることができなくても、その多くは、手形の書換えによる従来の貸付けの借換えである。
また、被告は、過払金をその都度元本に充当するとしても、減少後の元本額に基づいて利息を再計算することは許されないと主張する。しかし、弁済期前に弁済する場合には弁済期までの利息を支払う旨の特約は、信義誠実の原則・公序良俗に反し無効である。したがって、過払金が元本に充当されたら、減額した元本額に従って利息を計算しなければならない。
(2) 仮に右(1) の弁済充当が認められないとしても、次のとおり、エフエフ技研の指定充当により、過払金は、原告中嶋が二〇〇万円、原告馬場が三九八万七〇五〇円の合計五九八万七〇五〇円である。
すなわち、本件各貸付けは、従前の貸付けに係る手形の支払期日の延期又は手形の書換えに相当し、別紙3「取引経過表AからIまで」の九系列の取引に分解される。この各系列ごとに過払金の元本充当をすると、別紙4「利息制限法計算書AからIまで」のとおりである。
これを別紙4「利息制限法計算書A」につき説明すると、平成五年六月一一日貸付けの二〇〇万円を利息制限法に従い計算すると、残元本は一九一万二八九七円となる。これに対し、エフエフ技研は、平成五年九月二日、二〇〇万円を支払った。したがって、過払金は八万七一〇三円となる。エフエフ技研は、二〇〇万円をA系列の取引の弁済と指定して支払ったものであるから、過払金八万七一〇三円は、平成五年九月二日の貸付けに係る現実交付額一七七万六九二七円に充当され、その結果、右貸付金につきエフエフ技研が実際に利用できた金額は、一六八万八七二四円となる。したがって、右貸付金に対する制限利息は、一六八万九七二四円を基礎にして計算すべきであり、九万〇九六七円となる。過払金八万七一〇三円に対しても利息を課するのは、不当である。
他の系列についても同様の計算をすると、原告中嶋が二〇〇万円を支払った平成一〇年四月九日の時点では、過払額が三六六万六六四四円(原告中嶋の支払額二〇〇万円のほか、B系列が四五万〇七〇〇円、F系列が一二一万五九四四円)、残元本が三六七万九五八九円(A、E、G、H、Iの各系列の残元本の合計)となるから、結局、残元本は、一万二九四五円となる。そして、これに対する翌一〇日までの利息五円を加えた一万二九五〇円を五〇万円(原告馬場が平成一〇年四月一〇日支払)から控除した四八万七〇五〇円が過払となる。また、その後の原告らの支払は、すべて過払金となる。
(3) 仮に元本充当が認められないとしても、相殺による元本の減少を主張する。すなわち、原告らは、平成一二年七月二八日、各過私金返還債権と過払金発生時点における残存元本支払債務とを相殺する旨の意思表示をした。その結果は、相殺の遡及効により、右(1) と同様である。
(二) 被告
(1) 原告ら主張の過払金の充当方法は、誤りである。
本件の複数の貸付けは、それぞれが別個独立の消費貸借契約によるもので、それぞれ別個に弁済されているものであるから、それぞれの弁済により過払金が発生し、これが累積していくものである。過払金が発生の都度他の貸付金元本に充当されるものではない。エフエフ技研も被告もそのような意思はなかった。
また、過払金が発生した時点では他の貸付金の弁済期が到来していないから、この点からも法定充当されることはない。
具体的には、次のとおりである。すなわち、最初の平成五年六月一一日の貸付金二〇〇万円(弁済期が平成五年九月二日のもの)の現実交付額一八八万〇三〇二円(利息及び調査料の天引額一一万九六九八円を控除した金額。日本信用保証に対する保証料等は、みなし利息に当たらないから、現実交付額に含める。)に対する制限利息は六万四一三六円であるから、超過額は五万五五六二円となる。この超過額が元本の支払に充てたものとみなされるから、エフエフ技研が弁済期に弁済すべき元本は、一九四万四四三八円となる。エフエフ技研は、弁済期に二〇〇万円支払ったから、その時点で、五万五五六二円の不当利得金が発生する。しかし、右の理由により、右過払金五万五五六二円が他の貸付金の元本に充当されるものではない。次いで、平成五年六月一一日の貸付金二〇〇万円(弁済期が平成五年一〇月四日のもの)について、弁済期に二〇〇万円を支払ったことにより七万六七四三円の過払金が発生する。こうして、各貸付金の弁済の都度過払金が発生し、これらが順次累積されていくのであって、原告主張のように過払金がその都度残存元本に充当されて元本が減少していくものではない。
(2) 仮に過払金が順次残存元本に充当されていくとしても、被告には、元本の各弁済期までの期限の利益があるから、充当の結果減少した元本額に基づいて利息を再計算することは許されない。過払金を残存元本に充当するとすれば、別紙5「中嶋文隆殿過払額計算表」のとおり、原告らの過払金は四一四万七九三二円となる。
(3) 原告らは、相殺を主張するが、受働債権である各貸付金債権はそれぞれの弁済期に弁済されて既に消滅しているので、相殺することはできない。
第三当裁判所の判断
一 日本信用保証に対する保証料等を利息とみなすことの可否について
1 被告が、エフエフ技研に対し別紙1「取引経過表」の「借入額」欄記載の金銭を貸し付けた都度、同表記載のとおり、「利息」「調査料・取立料」と日本信用保証に対する「保証料等」を一括して天引きしたことは、争いがない。
2 証拠(甲一五八、一五九、一七一の1から4まで、一七二の1から25まで)によれば、次の事実が認められる。
日本信用保証は、平成三年、融資に対する保証業務等を目的として、被告の一〇〇パーセント子会社として設立された。日本信用保証は、被告の貸付けについては全件保証しているが、被告以外の融資主体による貸付けについては一切保証していない。借主との保証委託契約の締結事務は被告が代行しており、日本信用保証は、保証するかどうかについての審査を一切行っていない。保証料等の金額も、被告の意向により定められており、日本信用保証が独自に決定することはない。日本信用保証の社員は、本社に勤務する者のほかは、被告の主要な支店に一人ずつ、全国で一〇数名程度である。被告は、日本信用保証を設立した際、貸付金の実質金利を若干引き下げたが、保証料等を加えると、従来とほぼ同水準となっている。
3 右2の認定事実によれば、被告による貸付けについては、いわば自動的に日本信用保証が保証する取扱いとされている。しかし、日本信用保証は、借主の返済能力等に関する審査をしていない。また、日本信用保証は、被告に多数の代位弁済をした場合、独自に借主から回収を図るだけの人的体制は整えられていない。したがって、日本信用保証の保証は、そのすべてが実質を伴うものであるとは考えられない。
本件の場合、被告が天引きにより受領した「保証料等」を日本信用保証に交付したとの証拠はない。また、借主のエフエフ技研は倒産したが、日本信用保証が被告に代位弁済したとの証拠もなく、かえって、被告が自ら保証人である原告らに請求して八〇〇万円の支払を受けている。
そうすると、本件の「保証料等」は、日本信用保証による保証の対価との実質を有するものとは認められない。したがって、被告が天引きにより受領した「保証料等」は、金銭消費貸借に関し被告の受ける元本以外の金銭に相当するものというべきであるから、みなし利息に該当する。
二 利息制限法所定の制限利息を超える過払金の元本充当の可否について
1 争いのない事実と証拠(甲一五〇、一五一、一五三から一五五まで)によれば、次の事実が認められる。
被告は、平成五年六月一一日、エフエフ技研と元本極度額一〇〇〇万円の手形貸付取引約定を締結した(同月一四日には、取引の極度額を三〇〇〇万円とする基本取引約定を締結した。)。その後、被告は、エフエフ技研に対し、別紙1「取引経過表」記載のとおり、平成六年一一月から平成一〇年三月二四日にかけて、多数回にわたり手形貸付の方法により貸付けを行った。その一部は新たな貸付けであるが、他の貸付金は既存の借入債務の弁済に充てられた。すなわち、被告は、既存の借入債務に係る手形の満期日に、エフエフ技研の当座預金口座に右手形の額面額から利息等を天引きした額を送金する一方で、満期が到来した右手形を交換に回した。他方、エフエフ技研は、被告が天引きした金額にほぼ相当する現金を当座預金口座に入金した。そして、被告が交換に回した手形が決済された。これは、既存の借入債務が弁済されたことを意味する。
2 利息(みなし利息を含む。)を天引きした場合において、天引額が借主の受領額を元本として計算した利息制限法所定の制限利息を超えるときは、その超過額は元本の支払に充てたものとみなされる。
エフエフ技研は、このようにして計算される元本額を超える金額を弁済期に支払っている。本件の場合、エフエフ技研の被告からの多数の借入れは、当初の取引約定に基づき、一部はエフエフ技研の新たな資金需要を満たすためのものであり、他は既存の借入債務の弁済資金を得るためのものであった。このように、同一当事者間に金銭消費貸借という同種の契約に基づく複数の借入れに係る債務がある場合において、エフエフ技研が特定の借入債務の元本を指定して弁済したとしても、正当な元本を超える部分については元本が存在しないので、その部分に係る弁済充当の指定は無効であるから、民法四八九条の規定により、他の借入債務の弁済に充当されるものと解される。エフエフ技研は、できるだけ債務額を減らそうとしていたものと考えられるから、このように解することがエフエフ技研の意思に反するとはいえない。
被告は、過払金は他の借入債務の弁済には充当されない、また、弁済期が到来していない債務の弁済には充当されない旨主張する。
しかし、弁済充当は、同種の目的を有する数個の債務、すなわち複数の別個の債務がある場合の問題であり、また、弁済期未到来の債務についても法定弁済充当の対象となることは民法四八九条一号の規定から明らかであるから、被告の主張は、採用することができない。
3 本件の場合、過払金の弁済充当をすると、別紙6「裁判所認定額表」のとおり、原告中嶋の過払金は一九三万二八一六円、原告馬場の過払額は三〇〇万円となる。これを説明すると、次のとおりである。
(一) まず、最初の平成五年六月一一日の借入金二〇〇万円(弁済期が平成五年九月二日のもの)についてのエフエフ技研の受領額一八四万九八〇二円(二〇〇万円から利息、調査料・取立料及び保証料等の天引額合計一五万〇一九八円を控除した金額)に対する弁済期までの八四日間の制限利息(年利一五パーセント)は六万三八五六円である(甲一五〇の手形貸付取引約定書三条二項に従い、円未満切捨て。以下同じ。)から、天引額からこの金額を控除した超過額は八万六三四二円となる。この超過額が元本の支払に充てたものとみなされるから、エフエフ技研が弁済期に弁済すべき元本は、一九一万三六五八円となる。
(二) 次に、平成五年六月一一日の借入金二〇〇万円(弁済期が平成五年一〇月四日のもの)について、同様の計算をすると、エフエフ技研の受領額一八〇万五九六六円に対する弁済期までの一一六日間の制限利息は八万六〇九二円であるから、エフエフ技研が弁済期に弁済すべき元本は、一八九万二〇五八円となる。
(三) エフエフ技研は、最初の借入金の弁済期である平成五年九月二日に二〇〇万円を弁済したから、これにより最初の借入金元本一九一万三六五八円は全額弁済され、過払額八万六三四二円は、(二)の借入金元本一八九万二〇五八円の一部の弁済に充当される。その結果、(二)の借入金の残存元本は、一八〇万五七一六円となる。
(四) 平成五年九月二日の借入金二〇〇万円について弁済期に弁済すべき元本は一八七万三九七三円となり、したがって、残存元本総額は、(三)の一八〇万五七一六円を加えた三六七万九六八九円となる。そして、平成五年一〇月四日に二〇〇万円の弁済があったことにより、残存元本は、一六七万九六八九円となる。
(五) 平成五年一〇月四日の借入金二一〇万円以降についても同様の計算をし、また、弁済による過払金をその都度残存元本に充当していくと、最後の平成一〇年三月二四日の借入金一〇〇万円があった後の残存元本は、三〇六万七一八四円となる。
なお、この計算に当たって、エフエフ技研の受領額が一〇〇万円未満のもの(例えば、平成五年一一月二四日の借入金一〇〇万円)については、年利一八パーセントで制限利息を算定すべきである。
4 原告らが主張する別紙2の計算は、利息制限法二条の規定を適用するに当たり、借入金についての弁済期までではなく、それより前の時点までの制限利息しか考慮していない点とエフエフ技研の受領額が一〇〇万円未満の借入金について年利一八パーセントではなく一五パーセントで制限利息を算定している点で、採用することができない。
原告らは、弁済期前に弁済する場合に弁済期までの利息を加えることは信義誠実の原則や公序良俗に反する旨主張するが、民法一三六条二項の規定の趣旨に照らし、採用することができない。
5 原告らが主張する別紙4の計算は、利息制限法二条の規定を適用するに当たり、エフエフ技研の受領額ではなく、受領額から過払金の一部を控除した金額を元本として制限利息を計算している点で採用することができない。
エフエフ技研の受領額がそれ以前の特定の借入金の弁済の原資に充てられ、その結果、過払金が生じたとしても、その過払金は、民法四八九条の規定により弁済期が先に到来する他の借入金の弁済に充当されるものであり、当然に原告ら主張のとおりの充当関係になるわけではない。エフエフ技研は、特定の借入金の弁済として支払をしたものであって、原告ら主張の一団の系列取引に対する弁済として支払ったものとは認められないからである。
また、エフエフ技研が被告から一定額を受領しこれを直ちにそれ以前の特定の借入金の弁済に充て、その結果、過払金が生じたとしても、受領額について約定の弁済期までの経済的利益を得ているのであるから(過払金は他の借入金元本の弁済に充当され、当該他の借入金元本額が減少する。)、利息制限法二条の規定と異なる計算方法を採る理由はない。
6 被告が主張する別紙5の計算は、保証料等をみなし利息に含めていない点で、採用することができない。
7 原告らは、過払金返還債権と残存元本支払債務との相殺を主張するが、原告ら主張の残存元本支払債務は、相殺の意思表示前に弁済により消滅しているから、相殺をすることはできない。
四 以上によれば、原告中嶋は被告に対し一九三万二八一六円、原告馬場は三〇〇万円の不当利得返還請求権がある。なお、遅延損害金は、不当利得返還債権は商行為により生ずるものではないから、年六分ではなく、年五分の割合による。
したがって、原告らの請求は以上の限度で理由があるが、その余は理由がないから、主文のとおり判決する。
(裁判官 菊池洋一)
別紙<省略>